中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
座右の銘/至誠通天

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時の風 中村時広がお届けする発行紙「時の風」

1998年8月号 視界不良、政治は何処へ

過日行われました、第十八回参議院選挙では、自民党大敗という結果が示され、 橋本総理は退陣を余儀なくされることとなりました。選挙によって政治は動くということを、実感された人々も多かったのではないかと思います。
選挙の中盤戦まで、各種世論調査では、自民党の優勢が伝えられていました。 

その予想を覆す結果に対しては、投票率が上昇したこと、 投票直前に橋本総理が票の上積みを狙って、恒久減税実施を打ち出したこと、 中小企業を中心とする厳しい経済情勢の反映など、様々な分析がなされています。

確かにこうした要因の積み重ねであることは間違いありませんが、最大のポイントは、将来というものに思いを馳せて、一度立ち止まって政治を考え、 人からの依頼や所属組織の強制ではなく、自らの意志で投票した方が増えたということに尽きるのではないかと思います。

先週号でお伝えしたように、私は愛媛選挙区で、林候補の選挙対策本部長という立場でこの選挙に参加させて頂ましたが、保守王国と言われる愛媛においてさえ、変化の兆しを感じました。

たった一ヶ月という短期間で、全県を回りきることができなかったこともあり、 結果的には30万票対20万票で敗れはしましたが、都市部では、ほぼ互角の選挙を行う事ができました。

私の選挙区でもある松山市においては、6万票対5万9千票という大接戦、第二の票田新居浜市では、1万8千票対1万7千票で勝利することができ、全国的な流れを痛感致しました。

林候補擁立の関係者である各党、各団体間にも、次なる戦いに向けて、一体感と充実感を残すことができたように思います。

皆さまに、紙面を借りてお礼を申し上げますと共に、次回の選挙における勝利に、是非ご期待下さい。

特に衆議院選挙は小選挙区が導入されましたことにより、間接的に政権、すなわち総理大臣を選べる選挙となります。

戦後の政治の転換点として、歴史に深く刻まれる選挙になるのではと思います。 

今週号では、新しい総理誕生の流れを受けての今後の見通しについて、ご報告させて頂きたいと思います。

動き始めた政治

参議院選挙の大敗を受けて、橋本総理は退陣へと追い込まれた。

最終結果が弾き出されるまでは、本人もここまでの議席減少を予測していなかったのであろうか、
テレビを通じてのインタビューにおいて、政権継続への願望が滲みでていた。
しかしながら、予想は遙かに上回る結果に、その願望は潰えることとなる。
五五年体制の一翼を担っていた社民党は、自民党に体よく利用され、使い捨てにされてしまった。
体制の一方が崩れれば、他方も崩れることは避けられない。今後、自民党はかなりの速度で崩壊過程に入ってゆくと思える。

その理由は、時代にマッチしなくなってきた同党の抱える体質、そして小選挙区となった衆議院の選挙制度にある。

硬直化する人材

かつて自民党は、様々な分野の議員を抱え、人材が決して偏ることがなかったため、 結果として、国民政党的な性格を色濃く持っていた。

しかしながら、時代は流れ、現在の所属議員は、官僚、二世、地方議員、秘書出身者で実に70%以上を占めるに至ってしまっている。
今回の参議院選挙の同党比例代表名簿が、各省庁OBのオンパレードであったことをみても、その傾向は明らかである。何故ゆえに、これほどまでに人材が硬直化してしまうのであろうか。

それは、長期間にわたり政権に居座り続けた間に、国の果実である税収を巧みに使って、利権構造を完成させたからにほかならない。

築き上げられた利権を維持するためには、それらに関係のある候補者たちを抱え続けることが、最も手っ取り早い方法だからである。

だが、まさにそのことによって自民党政治は、政策的に、20%の人々しか重視しなくなるという、皮肉な結果をもたらしている。「国民政党」から「組織政党」へと、自民党はその性格を、変質させていったのである。

やめられません

果実の源である経済成長が停滞し、税収が落ち込み始めると、その体質が人々の前に姿を現し始める。

利権構造を維持するために必要な予算は、削ることができない。

そこを削れば、還元される政治献金が枯渇するからである。 

よい例が、金融機関に対する公的資金投入である。
税金の投入先である銀行協会から、依然として多額の政治献金が自民党に送られることを、皆さんはどう判断されるであろうか。

ゼネコン業界しかりである。収入不足を補うため、当然、国民負担は上げざるをえなくなる。

赤字国債も、負担を将来に持ち越すだけの話であり、ごまかしにすぎない。 
別の言い方をすれば、自民党政治は、タックスイーター(税金を喰らう人々)重視の政治であり、タックスペイヤー(税金を納める人々)を軽視する政治なのである。

この政治を根本的に改めない限り、国民負担増加は、恒常的に続いてゆく。政策体系の限界がきているのである。

試される野党

自民党崩壊過程の、今一つの要素は選挙制度にある。 

小選挙区の導入に伴い、衆議院では定数是正の問題にもメスが入れられた。

三百の選挙区で、都市部の議席が占める比率が60%を超えることとなったのである。 
自民党は農村型政党の色彩が強まるであろうが、そこで強さを発揮しても、全体の議席の中では過半数には遠く及ばない。

都市部では、自民党お得意の締め付け型選挙は通用しない上、
前に記したような自民党の体質に問題ありと感じる人々が、急激に増加している。

それを肌で感じているからこそ、総裁選挙の最中にも、自民党の都市部選出議員の間から、新党結成の声が上がっていたのである。しかしそれは、自己保身から発せられた、あまりにも不純な動機ではある。 

こうしたことから、次回の衆議院選挙を通じて、政権交代が起こりうる基盤は、極めて強くなってきている。

野党勢力が明確な政権構想、すなわち誰の下で、どのような基本政策を実現するのかという絵をわかりやすく描き、それを結集軸にしてスクラムが組めるかどうかで決まるであろう。

やっぱり変われない

橋本総理退陣を受け、自民党では総裁選挙が行われた。 

ご存じのように小渕、梶山、小泉氏によって争われたのである。

政策論争を聞いての個人的な感想であるが、小渕氏は、皆さまの声をという発言を連発し、多分に選挙を意識した内容が多く、本人が何をしたいのかが、よく見えなかった。

梶山氏は派閥に捕らわれない自由さがあったのであろうか、かなり具体的な政策を論じていたように思う。逆に小泉氏は、かつての歯切れの良さがトーンダウンした印象を受けた。

推薦人を集めるに当たって、政策の制限、足かせをはめられた結果であろう。 

そして大方の予想通り、報道番組などで調査した、国民の声とは全く正反対の結果である、小渕氏が選出されたのである。

議員たちの本音で言えば、解散総選挙をしないことを担保してくれた人、地方代表の本音で言えば、依然として利権システムの頂点に君臨する、竹下元総理に忠実な人を選択したといったところであろう。 武器を持たない総理 、総理・総裁の最大の武器は、人事権と解散権である。 

珍しいことに、その一方の武器である解散権を、発足の段階から取り上げられた総理が誕生したのである。

その後、新内閣人事が発表された。 経済評論家である堺屋氏の起用は、
同氏の考え方を思うとき、なかなか興味深いものがある。

しかし、七八歳の宮沢氏の大蔵大臣起用には、言いようのない空しさを感じざるをえない。

この難局を、自らが引き受けようとする若い人材が、自民党にはいないことを天下にさらすことに対し、何とも思わなくなってしまったのであろうか。

また、若手女性閣僚起用は、議員として知っているだけに、実力というよりも、イメージ向上として指名したとしか思えない。後は、いつも通りの派閥順送り人事である。

地元からもお二人が入閣された。それはそれで喜ばしいことであり、県人として、エールを送りたい。ただし、構造的な改革に取り組んで頂けるという条件付きである。

政治に残された改革への時間は、もうそんなに長いものではないと思うからである。これまでの手法を継続してゆくとすれば、この内閣は短命に終わることは確実である。

臨時国会の会期末である10月に、正念場を迎えることは間違いない。
これまでと違って、参議院の議席に大変化が生じている以上、自社さ政権時代のように数ですべてを処理することは、不可能となっている。

果たして政策や国会対策でどんな対応をしてゆくのか、対する野党がいかなる対抗策をまとめてゆくのか、8〜10月に開催される臨時国会を、じっくりと見つめてゆきたい。