中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
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時の風 中村時広がお届けする発行紙「時の風」

1998年3月号 地球SOSパート1−オゾン層破壊−

トライアングルの変換

最近大いに反省していることがある。
これまでの自分は、一部の人たちの癒着によって多くの国民が踏み台にされている現状を変えようと走ってきた。
政・官・業の癒着構造にメスを入れることを、一つの目的としてきたのだ。
その目的は変わらないのであるが、分析に問題があったのである。
政・官・業の癒着構造は、かつて限られた資本しかない時代には、無駄なく税金を分配する「効率のトライアングル」であった。
高度成長が始まり、毎年税収が伸びるようになると、それを分捕り会う「利権のトライアングル」に変わってゆく。
やがて高度成長が終わり、毎年税収が前年を下回るようになった今日においては、 彼らの既得権益維持を目的とした、「搾取のトライアングル」に変貌する。
簡単に言えば、足らなくなったら皆から取れ、である。

悪魔のトライアングルへ

ところが、トライアングルには搾取のほかに、もう一つの危険な面が潜んでいた。
経済成長は私たちの生活を限りなく向上させてきたが、その一方で、地球そのものの環境に大きなダメージを与えてきた。
近年その深刻な状況が明らかになってきている。
トライアングルは、既得権と利益を維持するために、環境問題への取り組みを意図的におろそかにする力を働かせる。
その結果、近い将来、私たちの生存そのものを脅かすほどに地球環境は悪化し始めている。
にもかかわらず、対策が遅れて行く。
名実ともに、「悪魔のトライアングル」となっているのである。
環境問題に関する事実を積極的に明かして、事実が国民に広く知られれば、政治や行政は新しい規制を作らざるを得なくなる。
関係企業にとっては、その対策のために余計なコストがかかるので、トライアングル内において、環境問題は適当にという力が働いてしまう。
環境問題に限らず、日本の場合、大きな被害が出るまでは情報は知らされないし、多くの犠牲が出るまでは対策も取られない傾向が強い。
薬害エイズ問題などは、その典型であろう。トライアングルの既得権利益が優先されるのだ。

環境途上国、日本

昨年12月、「温暖化防止国際会議」が京都で開催された。

連日のようにマスコミ報道がなされていたが、専門的間言葉が多いことや、環境悪化の実感が日常生活の中であまりないこともあって、ついつい軽く見過ごされてしまうケースも多い。
事実、かつての私がそうであった。
京都会議では、われわれの生存に関わる恐ろしいデーターが並びそろっていた。

また、経済成長を優先する各国のエゴが、剥き出しになってぶつかり合っていた。

議長国としての日本は、その任を果たしたとはとてもいえないし、交渉そのものも、最後まで欧米諸国のペースで押し切られた。

日本の政府そのものに、環境問題に対する哲学が希薄なこと、情報収集力が不足していることがなどがその原因であろう。

環境のX−FILE

地球環境問題は、現状では政治屋役所が上から押しつけても、なかなか理解されない。

しかしながら、前に記したとおり、私たちの生活や生存そのものに深刻な影響が出始めるのは、そう遠い未来の話ではない。

2010年当たりから、あらゆる面で、目に見えて影響がでてくるのである。

多くの人が事実を知らされなければならないときを迎えている。

今、自分は「悪魔のトライアングル」は、国民の損得という視点ではなく、人類の生存という視点から捕らえるべき問題であり、それゆえにその構造にメスを入れなければならないという思いを強く感じている。

今ならまだ間に合うからこそ、一人でも多くの方に事実を知っていただきたいと思う。

そして、押し付けではなく、それぞれで考えていただくことが重要なことではないかと思う。

高木善之氏という方が主催する「地球村」という活動がある。

環境問題に関して、公表されている世界のデーターを体系的に取りまとめ、地球の現状を知らせてくれている。

そのデーターや京都会議の記録などを自分なりに消化し、政治家としての視点も入れながら、何回かに分けて環境問題を取り上げて行きたいと思う。

皆さん、大丈夫?

一口に環境問題と言ってもオゾンホール破壊、地球温暖化、ダイオキシン、電磁波、など、その分野は多岐に渡る。

ある物は直接的に、ある物は食糧問題やエネルギー問題を通じて間接的に、人類の生存に大きく関わっている。

現在、松山地域において真夏の晴天日に直射日光に当たる場合、どの程度の長さが絶対安全といえるか、知らされている人、知っている人はほとんどいない。
答えは10分〜20分である。

それ以上はDNA(遺伝子)破壊に繋がる恐れがあり、それは免疫低下、皮膚ガン、白内障などを引き起こす。

免疫低下は人間の体の抵抗力を弱め、ガンやエイズなど、様々な病気の拡大をもたらしていく。

現在、カナダ、オーストラリア、など主要な先進国では天気予報で紫外線の量と、日光浴の許容時間を知らせている。

日本の上空のオゾン層は既に10%程度破壊されており、こうした先進国と同じ状況であるにもかかわらず。誰も知らされていない。

安全のフィルター

太陽からは3種類の紫外線が発せられている。波長の長い紫外線Aは体に良いとされている。

最も波長の短い紫外線Cは地上には届かない。問題はその中間の紫外線Bである。

紫外線Bは、生命そのものの存在を許さない。

オゾン層がフィルターの役割を果たし、紫外線Bをカットしているからこそ、地上には生命体が生息できるのである。

オゾン層が形成されるまでには、何十億年もの長い年月がかかっている。

それがたかだか数十年程度の歴史で、破壊されようとしているのである。

すべてはフロンガスの発明から始まった。1928年のことである。

1960年代以降になると、冷蔵庫・エアコン・スプレー・発泡ウレタンなどの商品や、ジュース自動販売機、ハイテク工場などで多用されるようになる。

その危険性が初めて指摘されたのは、1974年のことである。

すぐには方向転換できないのが世の常であり、その後も使用が続いて行くが、1985年に南極に巨大なオゾンホールが出現したことで、危険性が広く知られることとなった。

これからが本番

フロンは大気に放出されてから15年以上の長い年月をかけ、上空20km-30kmに存在するオゾンに到達する。

現在生産されたフロンのうち、オゾン層に達したものは、その10%に過ぎない。

残りの80%は空気中を漂いながら上昇中であり。残りの10%は製品の中にある。

それが何を意味するかは言うまでもない。

だからと言って絶望することはない。今すぐにフロンの放出を止めたならば、50年後には回復する可能性があるといわれているのだ。

世界の15%のフロンを消費している日本の責任は、あまりにも重い。

世界は進む

フロンといっても、その種類は約百種類にも上るが、大別すると、

C F C(特別フロン)
HCFC(代替フロン1)
H F C(代替フロン2)

の3種類に分類される。このうちオゾン層破壊力の最も強いCFCは1995年に既に製造が中止されており、HCFCも2020年に全廃の方針が決定されている。これも前倒しで行おうという積極的な動きが始まっている。

HFCはオゾン層の破壊力はないものの、二酸化炭素の数千倍の地球温暖化係数を持つため、過日の京都会議で排出削減の対象ガスとなった。

生産面における規制については、世界的な流れの中で着実に前進を続けている。

問題は既に生産されてしまったものに対する対策である。先進国の中で、この点について何の規制も持たないのは日本だけである。

遅ればせながら

京都会議を受けて、日本の通産省も世界的な流れを実感したのか、ようやく今国会で、「家電リサイクル法案」なるものを提出する。

メーカーに特定フロンの回収処理義務を負わせるという、先進国では当の昔に行われている内容である。

この法案には明らかに欠陥がある。対象となるのはエアコン、洗濯機、テレビの4品目のみであり、
カーエアコンなどは含まれておらず、業界の自主努力に任せているのだ。業界の力関係の結果であろうか。

家電製品はその8割が販売店ルート、2割が自治体のごみ収集ルートを通じて廃棄されている。

自治体経由の扱いは、まだはっきりしていない。

また。費用負担の問題も重要である。

先進国では製造者責任が厳格であり。

廃棄物は作ったものに最終責任があるという考え方である。

だが、今回の法案の場合、費用は全部消費者負担ということにもなりかねない。

もちろん、先進国では使用者にも厳格である。不法に投棄した場合には、莫大なペナルティが課せられる。

フロン冷蔵庫の不法投棄の場合、アメリカー約250万円、ドイツー約350万円、イギリス約450万円の罰金である。

法案の詰めの作業の中で、このような点で悪魔のトライアングルの力が働かないよう、見極めねばならない。

世界の常識、日本の非常識

先進国でこうしたことが可能なのは、天気予報などを通じて、広く環境に関する情報が知らされているからこそであろう。

市民は事態の深刻さを理解し、人類の生存を脅かす行為は許されない、という意識が浸透しているのである。

各国では既に日本では想像もつかない取り組みを始めている。

ヨーロッパではジュースの自動販売機は撤去され(日本では300万台)、
アメリカではフロン製品の警告ラベル添付義務、環境税導入など、日本で行ったら大騒ぎになるようなことも実現している。

ノンフロン冷蔵庫も販売されているし、オーストラリアでは紫外線から市民を守ることを目的に、
公共の公園にすべてテントを設置した町もあるのだ。

日本では、あいもかわらず裸ん坊教育やお年寄りの日光浴を推奨する。
知らされないことの恐ろしさである。

新しい社会へ

環境を重視すると経済が破綻するという論陣を張る輩がいる。

それは明らかに間違いである。環境の尊さを多くの人が理解している社会においては、そうした取り組みに積極的な商品の購入を優先するであろうし、そこにまた新技術が開発されて行く。

当然、企業の設備投資も促進されるのだ。

ニュービジネスのチャンスも拡大、経済界に新しいチャレンジャーたちが登場する。
要は環境調和型経済というシステムに切り替わって行くだけの話であり、政治は制度や制度や税制、補助金を駆使してその方向に誘導する役割を負うべきなのである。

悪魔のトライアングルの面々は変化を嫌う。

できるだけ楽に利益を上げ、新規のチャレンジャーの登場を妨げようとする。

そして、今、人間の生存そのものが脅かされている。

地球と共生する時代を築き上げるためにも、まず、真実を知らせること、それが第一歩ではないだろうか。

そのために、政治は必要以上のしがらみをもってはならない。