中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
座右の銘/至誠通天

【中村時広事務所】

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DJ中村時広 FM愛媛/えひめ・熱中・夢中人! 南海放送ラジオ/おーい中村さん!

 感動物語「カーネーション」

 今週も先週に続きまして愛媛県の昨年度に実施した事業、「愛顔感動ものがたり」の入選作朗読をお送り致します。 この事業では、人それぞれの人生における愛顔に繋がる感動的なエピソードを、800字以内の文章で募集しました。 新井満さん、紺野美沙子さん、水城奈々さんらの協力を得て、今年1月に表彰式を実施、会場を埋め尽くした県民の皆さんを感動の世界へ誘うこととなり、事業の継続が決定、今年も7月末まで作品を募集中です。
 それでは今週は、香川県の中村千代子さんの作品「カーネーション」をお届けします。お聞き下さい。
 五つの冬、母が急逝した。姉はすぐにお嫁に行き、父と兄と私だけの生活が始まった。小学一年生になった母の日、学校で白いカーネーションを貰った。みんなのは赤い。 「千代子ちゃんは、お母ちゃんおらんから白いんで」  先生が優しい声で胸に付けてくれた。セルロイドの白いカーネーション、触れるとガサガサ音を立てた。 「お前、お母さんおらん。お前、お母さんおらん」そう言っているみたいだった。父にも兄にも見せず、納屋の中でワアワア泣いた。
 何年生の時だったか、また母の日がやってきた。罰を受けるような気持ちで学校に向かった。  その日も白いカーネーションを貰った。午後になって雨が降り出し、みんなお母さんが迎えに来はじめた。私は、ぼんやり下駄箱の側で外を見ていた。雨の向こうに、腰に縄を巻き、破れた番傘を差した父の姿が見えた。「待ったか? きれいなカーネーション付けとるのぉ」  父に見つかってしまった。雨に気を取られ胸からはずすのを忘れていたのだ。 「みんな赤いけど、うちはお母ちゃんおらんけに白いんや」 「白でもええが。父ちゃんおるんやけに」  父が頭を撫でてくれた。どしゃ降りの雨の中、父に手をつながれ家路を急いだ。なぜか悲しい気持ちはなくなり、心の中に笑顔が広がっていった。
 今、母の日には、二人の子が赤いカーネーションの花束をくれる。小さい時に白いのを貰い、母となって赤いのを貰える私は欲張りかもしれない。  あの頃、父の日があれば野原の花でも摘んであげたのに・・・・・・。父は頭を撫でてくれ、大喜びしたことだろう。もう、父はいない。
 父ちゃん、私ね、毎日笑って暮らしています。姉ちゃんも兄ちゃんも元気ですよ。