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今週も先週に続きまして愛媛県の昨年度に実施した事業、「愛顔感動ものがたり」の入選作朗読をお送り致します。
この事業では、人それぞれの人生における愛顔に繋がる感動的なエピソードを、800字以内の文章で募集しました。
新井満さん、紺野美沙子さん、水城奈々さんらの協力を得て、今年1月に表彰式を実施、会場を埋め尽くした県民の皆さんを感動の世界へ誘うこととなり、事業の継続が決定、今年も7月末まで作品を募集中です。
それでは今週は、福島県の佐藤彬映さんの作品「人生最後の修学旅行」をお届けします。
この作品は「愛媛・愛顔の助け合い基金」で実施した、東北三県高校生修学旅行招待事業で来県した高校生の作品です。お聞き下さい。
四年前の三月十一日。あの日私達の暮らしが百八十度変わった。そう、あの東日本大震災だ。
地震直後、空には雪が降った。雪はすぐやんだが、友達と出掛けていた私は、屋内は危険と言われ、七時間以上外にいた。
寒くて寒くて、とても辛かった。なにより家族の安否が心配だった。そして、私が寒くて震えている間に、東日本大震災は、津波という大きな傷跡を残していった。
家を流し、大切なペット達も流し、そして人間の命をも・・・流していった。連日テレビでは、家族を探し、涙を見せている人達の姿が写されていた。
その上、福島県に住んでいる私達に、東日本大震災はもう一つ、傷を残していった。
福島原子力発電所の水素爆発だ。
爆発後は、「外出を極力しないで下さい。」とか、「海の方の人達はただちに避難して下さい。」とか、さまざまな情報が流れ、私達はただただ従い、混乱するだけだった。
それから一カ月の月日が過ぎて、人々の混乱が少しずつ減ってきた頃、次は風評被害というものが私達を苦しめた。
福島から出て、違う学校に転校したら、「放射能がきた。」「汚い」などとイジメられたり、テレビやネットでは福島を批判する言葉が増えたりした。
実際に私も、中学校の修学旅行で「福島から来ました。」と言ったら変な顔をされて、とても辛い気持ちになったことが今でも記憶にある。
あれから二年、私は高校生になり、修学旅行で愛媛に行くことになった。
また、変な顔をされ、辛い気持ちになるかもしれない・・・。
だが、愛媛県の人達は、遠く離れた福島の私達に多額の寄附をして下さり、私達を温かく迎えてくれた。
愛媛の高校生と交流した時、みんなと楽しく笑い合えて、とても良い思い出になった。
この交流後、愛媛の友達とは今でも連絡をとっている。
私は今回、愛媛に行ったことで、人生最後の修学旅行を楽しい思い出で終えることができた。
愛媛のみなさん、本当にありがとうございました。