中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
座右の銘/至誠通天

【中村時広事務所】

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DJ中村時広 FM愛媛/えひめ・熱中・夢中人! 南海放送ラジオ/おーい中村さん!

6月6日放送分 感動物語「思い出」

 愛の顔と書いて「愛顔(えがお)」、愛媛県の愛の字は「え」と読むことに思いを馳せ、4年前に造語にしてみました。 今では県のキャッチフレーズにも活用しているだけでなく、事業自体も展開しています。
第一弾は東日本大震災の支援で思いついた「愛顔たすけあい基金」、震災で修学旅行を諦めていた東北3県の高校生を愛媛県に招待するという事業でした。 多くの県民の皆さんからもお気持ちが寄せられ、3年間で2,300名もの高校生をお招きすることができました。
そして第二弾が昨年実施した「愛顔感動ものがたり」、人それぞれの人生における愛顔に繋がる感動的なエピソードを、 800字以内の文章で募集したところ、全国から1,800点以上の作品が届いたのです。 新井満さん、紺野美沙子さん、水城奈々さんらの協力を得て、今年1月に表彰式を実施、会場を埋め尽くした県民の皆さんを感動の世界へ誘うこととなり、事業の継続が決定、今年も7月末まで作品を募集中です。
このコーナーではこれから数回に渡り、昨年度の入賞作品を僕の朗読でお届けしたいと思います。
今週は大阪府・石原一志さんの作品、「最初の思い出・最後の思い出」をお聞き頂きます。

働いていた遊園地で、大事故が起きた。死者を出し、来園者は極端に減少。メディアは「安全神話崩壊」と毎日のように報道した。
 私の担当は、「UFOサイクル」。二人並んでペダルをこぎ、空中散歩を楽しむアトラクション。どしゃぶりの雨の日、カップルが誰もいない入口に並んだ。 「雨が止むまで、こちらでお待ち頂いて宜しいでしょうか?」「はい。」男性が笑顔で応えた。雨が止むまでは、屋根のあるスタート地点で待機していただく規定になっている。
まだ雨は止まない。数分の沈黙があって、女性から切り出した。 「なあ、なんでこんなとこ、来たん? もっとええとこ、あったやろ!」男性はすこし笑うと、胸ポケットから古い写真を取り出した。 「こないだ、実家に帰った時に見つけてん。この時はいとこが苦手で、よぉ泣いとったなぁ。」UFO サイクルに乗り、泣いている男の子の頭に手をあてる女の子が写った写真。 「小学校の遠足写真。自分からこれ乗ろって誘ったのに、怖くて泣き出して、かっこ悪かってん。 覚えてる?」「覚えてるわけないやろ。そんな前のこと! でもこの時くらいから仲良かったって、なんとなく覚えてる。」
 雨が止んだ。「結婚しよう。」「えぇっ!?はぁ?・・まぁ、えぇけど、あたしのゆうことは、ちゃんと聞いてや!  洗濯も、皿洗いも手伝ってや! お風呂も洗ってな! 子どもできたら、子育てもちゃんとしてや! できる?」「おう。」
 「雨も止みましたので、そろそろ出発しましょうか! それでは、空中散歩へ、いってらっしゃーい!」無線を飛ばす。 「祝福したいカップルがいらっしゃいます。お手すきのスタッフはUFOサイクルまで。」数名のスタッフでブーケを作り、帰りを待った。  「おめでとうございます!」静かな園内に祝福の音が響く。女性が涙を流して笑うと、記念撮影スタッフが、シャッターを切った。
 二人の結婚式の写真が送られて来た頃、遊園地の閉園が正式に決定した。