中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
座右の銘/至誠通天

【中村時広事務所】

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DJ中村時広 FM愛媛/えひめ・熱中・夢中人! 南海放送ラジオ/おーい中村さん!

誓いのコイン2

 本年度の坊ちゃん劇場ミュージカルのタイトルは「誓いのコイン」、先週は松山市の堀之内公園で発見された1枚の金貨から始まった、本作品の誕生秘話をお届けしました。今週は初日公演についてお話しさせて頂きたいと思います。知られざる実話に基づいたストーリー、国境を越えた男女の切ない恋心、結ばれることのかなわなかった2人の運命など、様々なテーマを秘めた「誓いのコイン」は、僕にとっては坊ちゃん劇場史上、最高傑作です。 初日公演には、そのスタートを飾るにふさわしいゲストが劇場に足を運ばれました。ロシア共和国のミハエル・ベーリィ駐日大使です。
 ご存じの通り日露両国間には、歴史的背景や領土問題などを巡り、困難な問題が常に横たわっています。いつの時代でも政治の舞台では、互いのメンツが直接ぶつかり合う結果として、取り返しのつかない事態へと流されてゆくことがあります。その最たるものが戦争です。こうした事態を回避するためにも、地方都市、文化・芸術、スポーツなどの幅広い交流が大切です。そのような交流で育まれる友情や相互理解は、時として誤解や政治の歪みを解消する力を持つ可能性を持ちます。
 日露戦争時の松山における捕虜収容所の歴史、市民によるロシア人墓地の清掃ボランティア活動、誓いのコインの物語、坊ちゃん劇場からの依頼により、愛媛県庁からロシア大使館に来県の要請を致しました。先方は日本におけるロシアの全権大使、正直ダメで元々のアプローチでしたが、こちら側の熱意と内容を受け止めてくれたのです。そして大使はミュージカル鑑賞、松山市のロシア人墓地参拝を目的に、初めて四国の地を踏まれたのです。ミュージカルは日本語なので大丈夫かなと思ったのですが、大使は事前にしっかりと頭にストーリーを入れられていたので、その心配も無用でした。僕の隣で観劇されていたのですが、最後までしっかりと見られていました。「誓いのコイン」は、目には見えない大きな役割を果たしてくれたと思います。
 さてその舞台です。ロシア人にとって松山の地は敵地、しかも捕虜という弱い立場、一方で松山人にとって相手は憎むべき敵国の兵士、そしてその負傷兵の命を救うという微妙な立場、正反対の立場にたつ人間の心理はあまりにも複雑です。戦況のニュース1つとっても捉え方は正反対、互いの行動や言動に対して疑心暗鬼の思いを拭い去ることができません。看護する側とされる側が日常を積み重ねるうちに、少しずつ気持ちが打ち解け、やがて友情が、そして恋心が芽生えてゆきます。
 役者さんたちは特別な状況下に置かれていた当時の人々の心の内を、演技を通して見事に表現されました。登場人物は優に数十人いるように感じるのですが、この舞台はたった13人で作られているのですから驚かされます。役者さんたちは1人で何役もこなされているので、舞台裏はまさに戦場です。
 歌や踊りはさすがプロフェッショナル、特にロシア人役の皆さんが躍るカチューシャなどのロシア民謡は最高です。主役の2人は見るものを感動の涙へと誘ってくれることは間違いありませんが、脇役の皆さんあっての舞台、それぞれがいい味を出されていました。とりわけ、ロシア将校役の役者さんは、風貌も渋い声も本物のロシア人かと見間違えるほどの演技で、ロシア大使もびっくりでした。
 後は見てのお楽しみ、劇場には松山市から貸与された、2人の名前が刻まれた金貨の実物も展示、こちらも必見です。