中村時広

昭和35年1月25日生まれ
趣味/読書、スキー、バドミントン
尊敬する人/福沢諭吉
座右の銘/至誠通天

【中村時広事務所】

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ダイアリー

2011年3月17日 「東北・関東大震災に際してメッセ−ジ」

東北地方を中心に未曾有の災害をもたらした東日本大震災。福島原子力発電所事故、救援活動、避難所運営、復旧作業など、いずれも現地の混乱が続く中で手さぐりの状況が続いています。今は誰が悪い、何が悪いと議論するよりも、ともかく人命第一でやれるべきことを行う段階だと思います。
 愛媛県では県下の市・町と協力しながら、防災ヘリ、医療チーム、消防隊員、警察官、など、救出・救命に即対応できる人員の派遣を実施致しております。今後は復旧のための土木技師、精神的なケアにあたる保健師、養護教員などを、現地の要請に応じていつでも派遣できるよう体制を整えているところです。
 物資につきましては、被災地各県と連日連絡をとりながら、受け入れ体制を確認した上で進めております。現地での受け入れ体制が整っていない中で物資を送ると、倉庫に山積みされていくだけで、住民の皆さんに届きません。また、現場ではその保管・処理業務で更なる混乱を招く可能性もでてきます。これは過去の大災害の教訓でもあります。
 そこで愛媛県としては第一段階として県・市町の備蓄物資の搬送を行い、現在は第二段階として災害協定を締結している民間企業を中心にした物資搬送の準備を進めています。第三段階では被災地のニーズを把握しながら、県民の皆さんにもご協力をお願いさせて頂きたいと思います。
  また、今回被災された方に対する住居の提供につきましては、公営住宅・県職員住宅を提供する準備を整えています。特に福島県で原子力発電所事故により避難される方につきましては、国からは発電所から20キロ以内の居住者を対象に受け入れるよう要請がありましたが、愛媛県では原子力発電所立地地域である福島県全域の方々に対象者を拡大して受け入れをしたいと思っています。
 皆さんがニュースを見て何か送りたい、何かしたいと思われるのは当然のこと、その善意とお気持ちは何よりも尊いものだと思います。ただ大切なことは物資がしっかりと被災地の住民に届くこと、それを最優先しておりますのでご理解願えればと思います。現段階で皆さんにとにかくお願いしたいのは、募金活動と献血です。献血につきましては血小板の有効期間が4日間しかないため、できるだけ長期に渡って万遍なく提供することが課題となります。なにとぞご理解の上、ご協力下さいますようお願い申し上げます。

 次に深刻な事故が発生した原子力発電所について、現段階でのご報告をさせて頂きます。愛媛県は四国唯一の原子力発電所立地県であるために、県民の皆さんの不安も高くなっているものと思います。そこでまず四国電力社長を県庁に呼び寄せ、今回の事故の情報収集と分析、規定に縛られない更なる安全策の検討と実施などを強く求めさせて頂きました。
 また、冷静な判断が必要との認識を持って、翌日伊方原子力発電所に赴き、現時点での疑問点についての確認を行って参りましたのでご報告させて頂きます。私も専門家ではありませんので、皆さんと同じ視点で疑問点をぶつけて参りましたので、それを差し引いてご参考願えれば幸いです。

@ 地震のメカニズムと津波(ポイント―プレート型・水深)
  今回の地震は、震源地が三陸沖の海底約一万メートルの深い場所で発生したプレート型地震です。太平洋プレートが沈み込む境界で歪みがたまり、陸のプレートが跳ね上がって起きました。大きいところで8メートルもずれ動いたとも言われていますが、深海であったが故に海水の容量も膨大で、それが大津波に繋がったものと推測されます。  愛媛県近くで同様のプレート型地震が発生する可能性があるのは、四国南方沖を震源とする南海地震です。この場合は伊方発電所からかなり距離が離れており、また内海という地理的な条件もありますので東北地域とは異なった状況となります。同地点でマグニチュード8.6の地震が発生した場合、伊方発電所で想定される津波は「1.90メートル」とのことです。(満潮時)  一方で、伊方発電所前面海域で地震が発生した場合も懸念されます。震源地は近くなりますが、プレート型ではなく、断層が横ずれすることによって地震が生じます。また、この海域は水深が80メートルほどで、海水の容量は少なくなります。同地点でマグニチュード7.8の地震が発生した場合、横ずれすることでは津波の発生はほとんどないことから、縦ずれすると仮定してより厳しく評価した結果、伊方発電所で想定される津波は「4.25メートル」とのことです。(満潮時)  伊方発電所は「海抜10メートル地点」に立地しており、予想される津波と立地場所からすれば、福島の条件とは異なると思います。ちなみに福島発電所は太平洋に直接面している場所ではありますが、海抜6メートルに立地された施設であったとのことです。伊方発電所の場合は立地条件から見て、津波以上に揺れに対する対策が重要であるように思います。もちろんこうした数字が妥当かどうかは、今後とも常に検証が必要であることは言うまでもありません。

A 揺れ(ポイント―振動基準値)
  伊方発電所の場合、あまり聞きなれない単位なのですが、「570Gal」という振動の基準値で設計されています。この数字を取り扱う上で注意すべきは、どの場所で、どのような条件下で採られるかということにあります。例えば地盤の強弱によっては、同じ揺れの強さでも数字は大きく変わります。また同じ場所でも地下、地上、建物といった観測する位置によっても大きく変わります。建物の高いところで観測すれば、必然的に数字は大きくなります。ニュースなどでこの数字が単純に示され、それが独り歩きすることには注意が必要です。伊方発電所の「570Gal」は、岩盤を基準としています。先ほどお話し申し上げた南海地震の場合、伊方発電所敷地での最大加速度は「94Gal」と想定されていますので、数字的には余裕があります。  ただ、ここで是が非でも知りたいのは、今回、福島発電所の岩盤でどの程度の数字が計測されたのかということです。その数字が明らかになれば、「570Gal」の妥当性が判断できるのではないかと思います。

B ディーゼル発電機(ポイント―設置場所)
  福島発電所の被害が拡大した最大の原因は、発電機が使用不能となって冷却水の供給が滞ったことにあるのは間違いありません。通常の電源が喪失しますと、非常用のディーゼル発電機が動き出すことになっています。福島発電所ではこの発電機が「地下」に設置されており、津波によって機能停止に陥りました。伊方発電所のディーゼル発電機の設置場所は「地上10メートル」であり、この点は大きな相違点と言えます。今回は最悪のケースとして冷却水を注入するため、通常配備されている消防自動車が投入されました。今後は冷却水を注入する電源の確保などがこれで十分なのか、国レベルで議論が起こってくると思います。

 以上、県民の皆さんの不安を少しでも解消できればと願いつつ、ご報告させて頂きます。今後とも県下で引き続き安全確保策に取り組みますとともに、エネルギー政策を所管する国に対して、地域から様々な申し入れや要請を行うと共に、四国唯一の原子力発電所立地県として、四国電力に対して徹底した安全対策を求めていきます。
 県民の皆さんにおかれましてはどうぞ冷静に受け止めて頂き、当面は被災地支援に全力を尽くすことへのご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
 また被災地への人的派遣を行うことにより、県内体制が手薄になることが避けられません。国難であるということ、また被害がなかった地域だからこそやらねばならないということを受け止めて頂き、お一人、お一人が今まで以上に日常生活の中での防火や交通事故などに気を付けて頂ければ幸いです。